「ヴィムショッタリーダシャーのみ」という運用は、ムリです。
特に、火星、木星、土星は、3方向にアスペクトし、2部屋を支配しますので、その時点ですでに6室分の象意が予定されることになり、「何が起こるのか」絞る機能がありません。D9やD10での位置も考慮に加えればなおさらです。「どう解釈しても、この時期に結婚はありえない」といった、消極的に絞ることがたまにできるかも、という程度でしょう。
使うにしても、「アスペクトはムシして、在住ハウスの象意と惑星本来の象意が発現する」といった、強弱をつけるべきです。
例外的に、ラーフとケートゥは支配もアスペクトもないので、ヴィムショッタリーのみでもそれなりにイベントを絞ることができます。次点で、支配星が少ない太陽と月のダシャー。あとは、自室にある水星や金星も、まだマシな方でしょう。ただし、ダシャーロードにコンジャクトが多い場合は、やはり絞る機能を失うことになります。
ともかく、基本は、複数のダシャーをみて、共通しているイベントを予言することです。ヴィムショッタリー以外にも、ヨギーニ、チャラ、ナラヤナ、使えるコンディショナルダシャーをみるべきです。
【メータ③308頁】
①その惑星の象意 ②支配室 の2種類の結果をもたらすとする。
その後の事例解説では,在住室の象意や月からみた位置なども使用されているが,支配室の象意を摘示する場合が多い。
【デフォー②312頁】
ダシャーの惑星が絡むヨガ,生来的吉凶,在住室,アスペ先,コンジャクトしている星の支配室や生来的性質,支配室など10項目が列挙されている。
【フローリー⑤176頁】
①支配室と,その惑星がアスペクトする星・部屋の結果をもたらす。
【BPHS47章2節】
①惑星の象意と,②その惑星の位置「等」による影響の2種類が発現する,とある。
【私見】
支配室,コンジャクト星の象意は比較的作用しやすい気がしている。
しかし,惑星集中だとなすすべがなくなる。
【メータ③303頁以下】
吉:星が強い場合(高揚自室など),ラージャヨガ形成,5または9Lとコンジャクトしている場合など
凶:凶星のダシャー,弱い場合(減衰,凶星とコンジャクト,コンバースト,境界線上など),ドシュタナ在住または支配,ジャンマナクシャトラから3・5・7番目のナクシャトラ在住の星のダシャーなど。
その他,細かいルールが多数記載されている。
【デフォー②318頁】
吉凶判断のみの法則はまとめられていないが,どうやら機能的吉凶と,生来的吉凶を考慮している模様。しかもその2つの効果が併存することが前提となっている。
【フローリー⑤177頁】
・MDとADが混ざった結果が生じる。ただし,MDが最優先である。
・MDからみたADの位置に関係する象意も発現する(1-7の関係にあるとき,対人イベント)。
・吉凶は,双方の位置(MDからみて6,8,12の関係にないか)と友好にもよる。
その後に続く事例解説では,MDの支配室の象意を中心に読んでいるようだが,はっきりしない。
【デフォー②326頁】
・ADは,まずMDと切り離し,MDと同じ切り口で解釈する。両方吉,あるいは両方凶ならそれを予言する。
・MDとADで吉凶が混合した場合,双方の強さを測ることが重要とする。例として,自室の木星/12H在住ラーフ期で木星がラーフにアスペクトしている事例では,木星が自室にいて強いため,「支出はあるが,ちょっとの無駄遣いで済む」などとよむ。
・ダシャーラグナでみる技法は,「自分の経験では,常に妥当するわけではない」として否定的。
【シンc20の23~25頁】
・D1で高揚など強くD9で減衰など弱い場合,ダシャー前半には良い結果,後半には吉凶混合の結果がでる
・MDADが凶/吉の場合,最初に悪い結果,期間の最後のほうに良い結果。吉/凶の場合は逆。
※DSS(ドゥビ)の解説本c19をみる限り,Vダシャーと同じような解釈手法をとっていると思われる。たとえば,「MDとADが5Hに絡むと子供の出産」など。なお,同書では,たびたび「結婚には2Hの絡みが重要」との記載があり,これがDSS特有のものなのかどうかは不明。
【シンc20の22頁】
「CSS(チャトル)はヴィムショッタリーダシャーと同じように解釈されるべき」と言いたい,と書いてある。