定義


ナディ占星術とは、ナディ文献と呼ばれる古代のホロスコープリーディング文献(サンヒター)で使用されている技法を用いた、おもに南インドでみられる占星術である。ナディといっても技法に幅があるが、ここでは、書籍の入手の制約により、ナディ占星術のひとつブリグナディをナーディ占星術と呼ぶ。ナディ占星術は、

 

 

1 アセンダントを用いない。ナーディ文献に記載されているホロスコープは、アセンダントのみならず月も表記されていないことがある。時計のない時代の名残であろう。分割図も用いない。月は2-3日で部屋を移動するから、「大まかな人生の傾向」は、アセンダントなしで言えるはずである。
2 リーディングは、各カーラカの状態を見て行われる。自分は木星、職業や兄は土星、兄弟は火星、配偶者は金星または火星、知性は水星、父親や息子は太陽、母親や姉は月、祖父母はノードでみる。財政と芸術は金星、家土地は火星、妊娠は太陽と金星、旅行はノードと月により判断する。
3 惑星の状態は、友好星座在住、高揚または自室なら強いとされるが、もっとも重視されるのは、惑星の2、12、7ハウスに友好星がいるかどうかである。高揚していても孤立している惑星は弱く、周りに敵対星がいればさらに弱い。また、高揚よりも高揚手前の星座在住が好まれる。これから強くなるからである。4-5度など境界線上も弱い。
4 惑星は、2、12、7Hにある惑星から影響を受ける。これに加えて5、9を観るものが多数、さらに3、11あたりまで加える論者も散見されるが、アスペが多すぎると実用性に欠ける。特に2Hの影響が強いように思える。2Hは所有物であり、12Hは出自、ヘルプである。たとえば,日金土と並ぶなら、妻は良い家系出身(+日)で仕事(+土)をもっている。
5 連続する惑星群内の惑星は、その先端の惑星の影響がもっとも強くなる。土星太陽金星水星と並んでいれば、土星は水星の影響を受ける。また、進行方向に惑星がない場合、最初に出会う惑星にもっとも影響を受ける。土星空室空室ケートゥと並んでいれば、土星はケートゥの影響を受ける。ゆえに、同室内でも必ず惑星の順番を確認する。
6 動的分析はトランジットのみである。木星と土星、場合によりノードを重視する。ただし、星座交換がある場合は、人生後半で星を入れ替えて読む。逆行も、人生後半では後ろのハウスに在住しているものとして読む。アスペクトすら移動後の場所からも行われる。交換や逆行により、友好星に囲まれる場合、敵星にぶつかる場合、高揚する、自室から出てしまうなど、効果は様々である。
なお、以上は,このページ作成者がナーディ占星術の本を20冊程度読んだものを独自に総括したもので、正しい技法である保証はない。

考察


1 ラーシしか用いないがゆえに、双子は同じ人生にならざるをえないし、的中率には限界がある。同じ生年月日の芸能人等を比較すれば100%の的中はしないことは容易に検証可能である。しかし双子問題は、D60レベルまでレクティファイしなければパラシャラでも月ラグナ技法もどうせ同じ問題である。

 

2 パラシャラシステムにおいても、パーパカルタリやケマドルマ、ベシヨガなど、惑星の前後を重視する技法は存在する。ナーディとパラシャラは矛盾しない。むしろ,パラシャラ技法の基礎といってよいので、まずはナーディ的にチェックするのがよい。その後、細かな補正をパラシャラルールで行う。