機能的吉凶と生来的吉凶


機能的凶星となった生来的吉星は吉的効力が残るのか,その逆はどうなのか,しっかり記述している文献は少ない。

 

【デフォー②276頁】

・生来的吉星が機能的凶星の場合,主観的レベルでは前者が優先し客観的なレベルでは後者が優先するとし,例として,魚座ラグナ金星3・8Lがラグナ在住の場合,寿命を司り高揚する吉星在住として身体は強くなるが,やはり8Lとして深刻な事故をもたらす(客観面)。しかし,本人はあまり気にとめない(主観面),というものを挙げる。

・8・9Lの土星が1室在住の事例で,土星期には,8Lとして妻や妹の死,本人の事故を引き起こし,9Lとしてインドへの巡礼等をもたらしたとし,「8・9Lの効力は累積されるのであって,キャンセルされない 」とある(319頁)。

 

【メータ③14頁】

5,6Lの土星(乙女座ラグナ)が5室自室の場合,自室ゆえに子供や教育によい影響があるが,6Lでもあるがゆえに子供の人数が少ないなどの凶的影響ももたらすとある。

 

【ナラシンハラオ144頁】

機能的凶星は良い人が害のあることをする場合、機能的吉星は悪い人が良いことをする場合に例えている。統合される見解のように読める。

 

 

 【ブラハ㉓の47頁】

土星が機能的吉星である場合も凶星としての効力もまたあると明言している。なお,生来的吉凶を重視しているとも明言してある。

    

 

【ボニー㉖(電子書籍なのでページ数引用不能)】

分割図内の惑星評価の場面ではあるが,機能的吉凶より生来的吉凶を優先して分割図内の惑星の評価を行う,と明記されている。 

 

【まとめ】

上記をみると,どうやら

 

①2つの支配室の象意及びその吉凶はブレンドされないようである。

②機能的吉凶と生来的吉凶の効力も,ブレンドされず併存するということで間違いないと思われる。

 

土星火星ノードが凶星であることを前提にしたヨガ,木星金星水星が吉星であることを前提にしたヨガが多くあることもその裏付けである。

多くのリーディング例は,火星土星を凶星扱いしている。基本は生来的吉凶にみるべき。

 

     なお、欠け行く月は凶星で、満ち行く月は吉星である。ナラシンハラオ25

自室や高揚状態の凶星の効力


【デフォー②263頁】

・自室にいる生来的凶星のアスペクトは良い結果を促進しない,とある。

・「高揚する星は常に吉星」ではない。惑星が良い影響をもたらすかどうかは他の要因によって決まる(61頁)ともある。

 

 

【ブラハ㉓の201頁】

RYKの土星が4室在住でも、土星は4室にとって重すぎるため、幸福をかきみだす、とある。ただし、不動産業を営んだり、リーダーシップがあがったりと良い面もあると指摘もしている。

 

※7Hにとっての太陽など,部屋と惑星の絶対的な相性は存在するようである。

 

【私見】

KNラオ氏の著書でも,高揚する土星からのアスペクトを凶前提のリーディングが多数ある。

その部屋にとっては吉,アスペクトは凶のまま,というところか。

 

 

凶星のアスペクトバック


【デフォー②267頁】

「自室またはアスペクトバックはとても良い」とするマントレシュワラの句を引用。

 

 

なお,出典は思い出せないが,凶星のアスペクトバックは部屋に対してであって,そこに惑星がいる場合は,その惑星には原則通り凶的効力を及ぼす。

 

凶星がドシュタナにいる場合


【デフォー②参照】

自室の場合は,最終的には吉的な影響となる。6L自室のネルー大統領は,強力なライバル(6L強)がいたが打ち勝つことができた,とする。

 

【フローリー⑤120頁】

自室や高揚ではない場合でも,下記場合は吉的影響ありとしている。

・土星の8室在住は長寿によい

・金星の12室在住は,快適さと富をもたらす

・ケートゥの12室在住は,霊的な直観をもたらす

 

【メータ③160、273頁】

土星や金星の八室在住は長寿には吉(ただし後者は結婚生活に難)。ラーフの12室在住は財政的には吉、ケートゥも吉とある

 

【私見】

・6Hはウパチャヤなので,凶星が在住すれば当然に吉である。

・8,12Hは,凶星が在住すればハウスの象意が傷つくはずであるが,7Hの太陽がとにかく悪いとされているのと同じく,部屋との絶対的相性の有無はあるかもしれない。

ただ,基本は,ハウスの象意が傷つく,8Lなら寿命が減り結婚生活の維持が難しくなり。

12Lなら悪い支出が増える,左目の病気,といった具合か。

 

 

 

減衰する凶星


凶星が減衰すると,凶的効力が減るのか,さらに悪くなるのか,はっきりしない。

 

【K.N.Rao c17 200頁】

「減衰の星座にある土星のプラス面は、「敵を撃破するもの、顔の輝き、高い地位と繁栄、自分に課した行動規範にあくまでも固執する、性生活を楽しむ」です。」とある。54頁では、「減衰の星座にある土星と火星は、謙虚さを表します。しかし、減衰の星座にある惑星は、つねに弱点を持っています」とある。
 
※減衰=完全に悪,という訳ではなさそうだ。
しかし,土星が減衰するとなぜ高い地位と繁栄なのか,不明である。
土星=民衆で,象意がひっくりかえる,という趣旨か。
土星=黒い,ということで,顔のかがやき,だろうか。
吉凶ではなく,象意が逆にでる,ということであれば,納得可能。

弱いドシュタナ支配星


【デフォー②268頁】

8Lが減衰している場合,寿命が減り,事故に遭う確率があがると書いてある。例外則との関連は不明。

 

【ラーマン⑭85頁】

6L減衰かつ10L高揚だと,敵が弱くなり打ち勝つ,ジャバヨガとなる。

 ※6L弱い=敵が弱い,という論理と思われる。

 

【私見】

象意によるのだろう。

6Lを敵,12Lを隠れた敵と読むなら,それらが弱っているわけだから,吉といってよい。

6Lをペットと読めば,ペットが衰弱することになる。

8Lを寿命と読めば,寿命が減るといえる。

 

太陽または月の8L


吉となる(パラディピカ41)。

 

 

弱い吉星の効力


【デフォー②314】

ダシャー解釈の文脈だが,「はかない,一時的な良い影響」をもたらす,とある。

 

 

ダブルケンドラ支配の木星


【K.N.Rao c18の56頁】

ケンドラ支配の吉星は中立化し、良い効果を及ぼす能力を失うとしている。4、10Lの木星は中立化するので悪い(bad by becoming neutral)とある。

 

【メータ③303頁】

ダシャー解釈の文脈であるが,ダブルケンドラ支配の生来的吉星は吉星であることを止める(cease)とある。

 

【デフォー②316】

ダシャー解釈の文脈,7・10Lの木星で,「トリコーナ支配・ドシュタナ支配いずれでもないので,木星のアスペクトの効力は中立(neutral)である」とある。

 

【私見】

ダブルケンドラ支配の吉星を、吉意がないという意味で良くないと表現するのと、悪いことが起こると扱ってしまうのは、きちんと区別した方がよいかもしれない。吉でも凶でもない可能性が高い。平均的な結果を予測することになろう。

吉星がドシュタナにいる場合


【ブラハ㉓の220頁】

例えば8室に2、5Lの木星がある場合
・お金や投資、子供に問題あり
・直感や遺産の獲得、長寿
明るい月がある場合
・感情面での災難、母親に問題
・哲学に興味、配偶者が裕福、遺産の獲得など
金星が6Hにいる場合(210頁)
・敵が少なくなる、全般的な健康運はアップ
・同時に、舌、腎臓、生殖器に問題
※つまり、①星は害され、②部屋の象意には良い影響がでる。