①V.P.Goel 「Predict with Dashamsha」 sagar publications (お勧め度★★★★★★)
・D10の解説に特化した,貴重な本。職種,自営と被雇用,昇進と失墜,それぞれの具体化時期など,頻出論点はすべて網羅。すばらしい。
・例えば就職を事例解説する場合,①就職がそもそも約束されているか ②されているとしてその就職時期 と分けて,しかも一貫して説明するなど,文章の構成がとてもすっきりしていて好感。
・D10の判断要素として,山羊座(ナチュラルゾディアックで10H)も挙げているのは興味深い。
・ただし,ナヴァムシャのLをみてみたり,ときにナクシャトラのLをみてみたり,と,判断基準が多く,恣意的に適用しているのではないかと,疑い深い私は思ってしまう部分がある。この本に限ったことではないが。
②Hart deFouw ,Robert Svoboda 「Light on Life」 LotusPress(★★★★)
・ナクシャトラの性質、トランジット,パンチャンガまで、基本事項を過不足なく網羅。 高揚や自室の凶星の効力など,かゆいところにも手が届く。吉凶混合の場合の解釈など,抽象的な解釈論は非常に充実している。
・ただし,結婚の時期や職種など,具体的レベルの論点ごとのまとまった解説はない。
・基本書としては極めて有用。
③M.S.Metha 「Analysing horoscope through modern techniqes」sagar publications (★★★★★★★)
・ハウスごとの詳細な解説,そして,職種,移住や学歴,晩婚,再婚,浮気,ダシャー解釈など,各論点の解説を含む稀有な本。マンデーン、ヨーギニダシャー、ヨガ、トランジットまで網羅。基本書としては極めて有用。現時点で勉強のコアになる本。よく読むと,ナーディ占星術やジャイミニにも言及がチラホラある。
・索引がないところ,パラメーターが10も20も単に並列されており整理されていない点が極めて残念。項目立ても雑で,読みにくい。
⑤David Frawley 「Astrology of the Seers」 LotusPress(★★)
・基本事項がコンパクトにまとまっているが,内容が薄い。せっかく洋書を買うなら,別の本でいい。
・レメディの項目もあり。
⑦V.P.GOEL 「Snapshot prediction using yogini dasha 」 sagarpublications(個人的には★)
いわゆるプログレスラグナでのヨーギ二ダシャーの解説本。各ダシャーごとに、プログレスラグナからみた事例の解説。疑い深い私は、後付け説明感をぬぐうことはできない内容であった。
⑧Parasara 「Brihat parasara hora sastra」sagarpublications 二冊組(★★★)
言わずと知れた古典。なんだかんだ、読んでいると勉強になる。例えば、アスペクトも、七室以外にもアスペクトがある(効力は落ちるが)とか、ジャイミニアスペクトもウパパダもアルガラも記載されているんだな。
ただし、七室に太陽か火星があると不妊、水星土星ラーフケートゥがいると低カーストと結婚、金星がいると淫ら、など、適用には形式的すぎる部分も多い。
⑩V.P.Goel 「locate disease astrology」 sagarpublications(★★★★)
・病気関係に特化した本。特にD3やD27の解説,分析事例が多数あり,貴重。
・各ナクシャトラの対応身体部分,病気の期間,対応する植物の一覧あり。
・BVB関連者の本としては珍しくレメディの項目あり。
⑬O.P.Verma「A Glimpse of Kerala Astrology」 Ranjan publications(★)
南インドの古典からのスートラを,ハウスごとに整序して羅列したもの。スカラチャーラヤという聖者の句らしい。どの部屋に何の星があるとどうなる,というのが並んでいる。「10Lでない水星が高揚している場合,その人は慈善活動をするだろう」「金星が5室に,ラーフが11室にいる場合,その人は17歳または32歳で結婚する」みたいな,句の集合体。実用性はイマイチ。
⑭B.V.Raman 「Three Hundred Important Combinations」(★★★)
263の良いヨガ,37の悪いヨガ(アリシュタ)の,成立条件と効果の説明。ニーチャバンガとヴィパリタが載っていない・・・。成立条件が厳しく永久に遭遇しないヨガが多数だが,通読していると,ディスポジターの重要性(頻繁に成立条件にはいってくる)やドシュタナLの凶悪性が身に染みてわかる。「5Hと11Hが星座交換し,5Hに月が在住すると,勇気があり名声が続く(インドラヨガ)」とか,「1Lが強く4・10Hに星座交換だと裕福,力強い(チャパヨガ)」など,そういうものの羅列。
⑰K.K.Payhak 「Advance study of Vimshottari Dasha」Alpha Publication(★★)
satyacharyaという多分あまり有名ではない聖者の理論をもとに,ダシャーの吉凶総論,各ダシャーロードの在住部屋別の記述。詳しい,が,やや抽象的。3,5,7番目のナクシャトラ在住の惑星は凶,など,「運命と時輪」にさらっとしか書いてない原則の解説も詳しい。レメディにも少し言及あり。
⑱Ryan Kurczak ,Richard Fish 「The art annd science of Vedic astrology vol2」(★★)
・アヴァスタとシャドバラが異常に詳しい。あとは,どのLがどこの部屋にいるか,の効果が,12×12とおり,各半ページほどの記述で網羅されている(あまり当たらないので,実践的とまではいえない)。
・プラシュナ,タージャカの項目あり。
㉓James braha 「The art and practice of ancient hindu astrology」hermetician press(★★★★★)
・アメリカの占星術家。基本からレメディまで広範な内容を含む。全体として生徒と先生の会話という形式であり,読みやすい。生来的凶星が機能的吉星の場合の凶的効力,ニーチャバンガやヴァルゴッタマ,再婚,職業判断など,聞きたいところは全て含む良書。生徒役が、「ウパチャヤに逆行する凶星があるとどうなの?」みたいな、かなり鋭い質問をしまくるし、著者もそれに正面から答えることが多い。
・ただし,ニーチャバンガもヴァルゴッタマも否定派であり,やや異端に位置するかも。
・会話調で索引も小見出しもないため、事項検索がきわめて難しい。
㉔V.P.Goel 「Predict with Navamsha」sagar publications(★★★★★★)
・D9,特に結婚関連について,再婚,駆け落ち,恋愛など現代的,実務的な論点の解説がある,ありがたい書籍。ゴエル氏の書籍は全てそうだが、項目も整理されており,とても読みやすい。
・結婚するかどうかについて,7Lではなく7Hに吉星の影響があるかどうかを重視すると明記されており(18頁),興味深い。
・結婚時期についてナーディ占星術の技法の紹介有。
㉕マーク・ボニー 「マークボニーのパーラーシャラの例外則」ジョーティシュダディー(★★★)
電子書籍。翻訳 清水俊介氏。ニーチャバンガや,3,6,8減衰の例外則を具体的にチャートで検討。例外則は完全に把握しないとアウトなので,それに絞った研究というのはありがたい。
㉖マークボニー 「ザ・分割図」ジョーティシュダディー(★★★★)
電子書籍。翻訳 清水俊介氏。分割図の解説を行う貴重な本。ただし,事例が有名人チャートなのが個人的にはあまり好きではない。分割図の基本的な見方(惑星の強さの評価やアスペクトの有無等)について解説がある。
㉗BVB教官、清水俊介翻訳 「本場BVBのインド占星術家が教えるホロスコープの読み方 Part1 教育編」(★★★★★★★)
・電子書籍。あるべきアウトプットとそのリーディング根拠が記載された、最高の書。必読。
・相談者からのお礼の手紙も掲載されており、予言が先出しされ当たったことも確認できる。占星術関連はどうも後付け説明くさい書物が満載だが、後付けでないという信憑性確保が確認できる書物は極めて貴重。懐疑論者としては、当たったリーディングの裏にハズレたリーディングが山のようにないことを祈るが、それを差し引いてもやはり最高の書である。
c17:㉘:K.ナラヤン.ラオ「ラオ先生のやさしいインド占星術 入門編」星雲社(★★★★★)
・名著。惑星の象意、チャートの書き方から始まって、ラージャヨガやアリシュタヨガをチェックするところまでいく。読むたびに、基本と初心を思い出させてくれる。
・予言に至る具体的な手順の解説は,意外に,本書とLight on Lifeくらいしかない。
・星座交換や逆行など、要件や効果を明示していない項目も多く、もどかしいところがいくつかある。
c18: K.N.Rao 「Astrology,destiny and the wheel of time」vani publications(★★★)
機能的吉凶やラーフケートゥの吉凶、各ダシャー解釈の原則など、基本から一歩踏み込んだ内容となっている。ハウスの象意や高揚減衰などの基本事項もコンパクトにまとめてある。「結婚のタイミング」の章はあるが、職種判断の項目が見あたらないのが残念。
c19:Manoj Pathak 「Predicting through Dwisaptati sama dasha 」Vani publications(★★★★)
1Lが7H在住、または7Lが1H在住のときに使えるコンディショナルダシャーの解説本。k.n.rao氏編集。一般的なダシャー解釈原則(運命と時輪とほぼ同じ)、ダシャー算出方法とともに、ラグナごとのコンディショナルダシャー適用例、ブッシュ大統領ら7名の人生解説付き。
コンディショナルダシャーの威力をまざまざとみることができる貴重な本。実例も豊富で本の内容構成にまったく異存なし。ヴィムショッタリーダシャー解釈のレベルアップにも応用できそう。
c20:Naval Singh「Predicting through Chatursheeti sama dasha」Vani publications(★★★★)
10Lが自室の際に使えるコンディショナルダシャーの解説本。k.n.rao氏編集。一般的なダシャー解釈原則と,ラブナごとの適用例,ジョージワシントンら3名の人生解説付き。
c21:Sarla Prasadほか「Single Women and Astrology」
K.N.Rao氏監修。独身女性のホロスコープ50について解説。パラメータは7H,8H,金星など。
c22:Alok Vermaほか「Astrology and Timing of Marriage」Vani publications(★★★)
K.N.Rao氏監修。婚期の要件を定立し,50事例を紹介して「検証」している。要件は,1H1L7H7LにMD及びADがかかわること(ただしD1またはD9いずれか),「結婚前に1Lと7Lがトランジットで関係をもつ」ことなど8要件が挙げられており,前者は100%,後者は98%の事例で満たすとされている。
しかし,1・7軸が土/月の場合,月の動きが速いため,絶対に要件を満たすし,それ以外でも太陽水星金星が1か月程度で動き木星土星が3か所にアスペクトするため,数か月をみれば必ず満たす要件であり,実際,「結婚の5月前に要件をみたした」などと書かれている事例も挙げられている。MDも,1・7に関与ない金星とラーフでも「結婚のカーラカだから」として「要件をみたす」としているものが散見される。これだけで30%の期間は「要件をみたし」てしまう。着眼点はいいだけに,詰めが甘いのが残念。
c23:R.S.Panwarら「The Drekkana」Vani publications
Col.A.K.Gour氏監修。K.N.Rao氏が前文を書いている。
c24:V.K.Choudhryほか「How to Study Divisional Charts」Sagar Publications(★★)
・題名とは裏腹に,半分が基礎的なインド占星術の説明。残りはD2~10について,各数ページ・いくつかのケーススタディ。D2の情報は類書にないので貴重である。
・各星が減衰,コンバーストした場合のダシャー解説がなぜか詳しいが,火星減衰:怒ってけがをする,血液の病気,ラーフ減衰:誘惑に弱くなり名声を失う,など,通り一辺倒の抽象的な説明に終始。参考になりにくい。
・ホロスコープが北インド式で,読みにくい。
・全体的に,抽象論に終始している印象。
c25:Sanjay Rath 「Crue of Vedic Astrology」Sagar Publications(★★★★★)
・ジャガナータホーラの製作者の師匠。簡単な基礎と,各ハウスの説明各40頁~で全589頁。
・「7Hは,10Hからみた10Hでありビジネスや職業に強く関連する。また,4Hからみて4Hでもあるため,幸福にも関連する」など,ハウス展開を用いた論理的なハウスの説明が秀逸。
・惑星のアスペクトのみならず,ラーシのアスペクトも随所で用いるし,アルガラやアルーダはかなりの頻度で言及があり,むしろ言及がない項目の方が少ない。ダシャーもナラヤナダシャーがかなり出てくる。K.N.Rao氏系統との違いが興味深い。
・小見出しがついておらず,物理的には読みにくい。索引もない。
c26:K.S.Charak 「Elements of Vedic Astrology」(★★★★)
・もともとK.N.Rao氏のもとで学んでいた方。惑星やハウスの象意,ダシャーやヨガの説明まで,基本事項は網羅。
・ただし,例えばダシャー解釈では,吉の太陽期はこれこれが起こり,凶の太陽期はこれこれが起こる,といった一般的な解釈例を示すにとどまる。分割図やムフルタ,トランジットの章もあるが,内容はやはり浅く,直接実用はできない。
・ニーチャバンガ,ヴィパリタ,サンヤーシヨガなど,項目をたててきっちり説明してあり,索引もある。物理的には読みやすい。初期の基本書としては有用と思われる。
c27:V.P.Goel 「Comprehensive Prediction by Divisional Charts」(★★★★)
・D5,6,8,11を含め,各分割図の作成方法,部屋の象意,解釈例のいくつかが記述されている。
・D9の項目をみれば,早婚,晩婚,複数婚など個別論点への言及も1-2ページほどある。
・作成方法に異説があればそれも紹介されるなど網羅性は極めて高いが,それゆえ逆に論点への言及は薄い。本書のみでマイナー分割図の実用を始めるには,いささか解釈事例が少ないように思う。
・レクティファイの関係上,高度分割図は個人的には使う機会はないが,辞書的に持っていてよい一冊だと思う。